シンクライアント

シンクライアントとは

シンクライアントとは、仮想デスクトップ環境下での利用に特化したエンドポイント端末です。

「Thin(薄い・厚みが無い)Client」という呼称が示す通り、クライアント端末から大容量の記憶媒体(HDDやSSD)を省き、アプリケーションのインストールも行わないという形態が一般的です。この反面、アプリケーションの実行やデータ保持などはサーバー側で行うという特徴もあります。

シンクライアントとPCの違い

シンクライアント自体は、特に新しい考え方ではありません。1960年代から1980年代における「メインフレーム(汎用機)」全盛時代において、すでにシンクライアントの基礎があったといえます。メインフレームでは、強力な処理能力を持つ汎用機に、複数のオペレーターが専用端末(ダム端末)からアクセスするという「中央集権型」の仕組みが確立されていました。この専用端末は、「最小限の処理能力のみを持たせる」というシンクライアントの基礎と見ることもできます。

また、1990年代に入るとWindows OSをマルチユーザーで使用するソフトウェアなどが登場しました。当時、まだまだ高価であったPCを大量に使用する業務システムにおいて、コスト削減や業務効率化に威力を発揮したといえます。

さらに2000年代終盤に入ると、サーバー仮想化技術と物理的なハードウェアの進化により、シンクライアントに新たな潮流が発生しました。現在のシンクライアントは仮想化技術と親密な関係にあり、情報漏洩やBCP対策、コスト削減など、さまざまな業務課題の解決に貢献しています。

なぜ今、シンクライアントなのか?普及が進む背景

ここ数年、シンクライアントが業務システムとして再評価されていることをご存じの方も多いでしょう。
ここでは、その理由を「セキュリティ」「コスト」「機能」という3つの視点から整理していきます。
セキュリティ面
  • 高度情報化社会で「情報」の資産価値が格段にあがり、資産を守るための対策が必要になった
  • セキュリティリスクの多様化(人的な要因による情報漏洩、エンドポイントへのサイバー攻撃など)で包括的なセキュリティリスク対策が必要になった
  • 災害時のBCP(事業継続性)対策として、業務用端末に重要なデータを保持させておくリスクが増大した
  • 働き方改革や人手の確保、ライフスタイルの多様化により、遠隔地から安全かつ確実に業務を遂行できる環境が必要になった
コスト面
  • 単純に端末1台あたりのコスト削減が可能である
  • 業務アプリが一元化でき大量のライセンスを購入するよりも安い
機能面
  • ハードウェアと仮想化技術の進化により、ひとつの物理サーバー上でいくつもの仮想マシンを構築可能になった
  • リモート接続でも、通常のPC操作と遜色のない使用感が得られるようになった

シンクライアントのメリットとデメリット

さまざまなリスク・課題を解決できるシンクライアントも「万能なシステム」ではありません。そこで、シンクライアントのメリットとデメリットを、「ファットクライアントとの比較」で整理していきましょう。

メリット

  • セキュリティ
    データを保存出来ない仕組みをもち、個人によるアプリケーションインストールもできないため一律のセキュリティを確保できます。
    シンクラアイント端末ではデータを一切持たないため、端末紛失時の情報漏洩対策やデータの持ち出しを抑制できます。
  • 耐久性
    最も壊れやすい稼働パーツが少ないため、故障する確率も低く耐久性に優れます。
  • 管理性
    サーバ側でOS、アプリケーションの一元管理ができ、現地での設定作業が減少します。
    シンクライアント端末が故障しても端末を交換することで業務開始が可能です。

デメリット

  • 初期導入コスト
    シンクライアント端末はデータの保存、アプリケーションのインストールも個人で出来ないためデスクトップ仮想化ソリューションとの組み合わせで利用する必要があります。
    そのためシステム全体での初期導入コストがPC環境よりも高くなるケースが多いです。
  • ネットワーク環境必須
    サーバ側の画面を操作する仕組みのため、基本的にオフライン環境では利用できません。

シンクライアント環境の種類

画面転送型

サーバ側で実行されたデスクトップ画面をネットワーク経由でシンクライアント端末で表示する方式です。
画面転送型にも、仮想PC型/サーバベース型/ブレードPC型と多様な方式があり、ユーザニーズに合わせて選択できます。

ネットブート型

ネットワーク上のOSイメージをダウンロードし、クライアント端末で起動して利用する方式です。
PCと変わらない操作感で利用できますが、転送データが大きいため、広いネットワーク帯域と高い端末スペックが求められます。

シンクライアント端末の種類

最後に、シンクライアント端末の種類について解説します。シンクライアント端末は、デスクトップ型、モバイル型、USB型、ソフトウェア型という4つに分類できます。ファットクライアントに比べると小型・薄型で、なおかつ安価なものが大半です。
デスクトップ型
Dell OptiPlex 3000

専用独自OSまたはWindows 10/11 IoTが搭載されたデスクトップPC型端末です。代表的なものに 「Dell OptiPlex 3000」、 ハイエンド利用には「Atrust t226」などがあります。

モバイル型
mt183

薄型ノートPCの筐体を持ったシンクライアント端末です。ビジネスユースに人気の14インチモデルは、「Dell Latitude 3420」、「Atrust mt183」、Chrome OS搭載モデルの「Latitude 5430 Chromebook」などがあります。

USBデバイス型
USBデバイス型

USBデバイス型は、既存の端末(ファットクライアント)に差し込むだけで、シンクライアント端末化ができます。 既存の端末を流用できるため低コストで、導入も容易であることが特徴です。 ただし、暗号化強度や耐改ざん性を重視したモデルでなければ、セキュリティリスクが発生することも覚えておきましょう。 具体的には、既存端末のOS上から見えない「秘匿領域」を持っていたり、専用の暗号化ツールによって暗号化されていたりといった製品を選択したいところです。

Resalio Lynx 300
Resalio Connect
ソフトウェアインストール型
ソフトウェアインストール型

既存の端末(ファットクライアント)にインストールすることでシンクライアント化を実現する「ソフトウェア型」の端末といえます。 既存の業務用端末を流用できることから、設定の手間や機器調達コストを削減できるという特徴があります。 既存の資産を流用した大規模なシンクライアント環境構築で威力を発揮するでしょう。

Resalio Lynx 700

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